KAWAI AKIO
  川井昭夫

 この作品は、私と植物が共犯関係を結ぶことを目論んだものです。つまり、人と自然の関係が判然としないほど一体化すること。それは、あたかも杉林の下草(苧麻)が自らの意志でサークルを形成したように。

 その為には、数千本の苧麻を、秘かに移植する必要があったのです。膨大な手間と時間をかけながら、その行為の痕跡を消すことで表現は完成する。

 つまり、私の表現は、自然に擬態することで達成されたわけです。それはまた、私の行為の範囲が曖昧さとして周囲に浸透し、水面に投げ込まれた小石によって拡がる波紋のように、地球上を被うのです。

  

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