KAWAI AKIO
  川井昭夫

 シダがサークルを形作っているように見える。自然のいたずらか、人の仕業か判然としないながら、はるか以前からずっとそこに息づいて来たように。

 「PLANT CIRCLE- 神の座」は、能登の山間部で、今も昔ながらの山の民の暮しを守りながらひっそりと暮らしているわずか三戸の小さな村のかけがえのない鎮守の森の拝殿跡に息づいている。
 私が為すべきことは、村びとにも、森の木々にも気づかれないように、植物自らがサークルを形成することを手助けするようにそっとシダを植え足すことでした。
 押しつぶされそうに圧倒的な自然の直中にポッカリ空いた聖なる空間の中で、その輪は自然からも、人からも離反した存在として立ち現れて見えるように。

  

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