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麻布の表面を、一本一本丹念に、ゆっくりと線で織るように筆触を確かめながら面相筆で埋めて行く。その線の色を限りなく麻の地色に近づけながら。 私の表現は、行為の集積としての全体制の中に解消されて行く。つまり、表現が麻布に擬態したことになるのです。 麻布はキャンバスの下地材でもある。絵画の物理的な解体の果てに、麻地と絵具が残った。 色彩は、調色を繰り返し限りなく麻地に近づくにしたがい失色し、同時に絵具は物としての側面を露にする。 1970年代の末に、私なりに行きついたこのミニマリズム的絵画の究極の姿は、いま思えば期せずして植物そのものと向き合っていたことになる。 |
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『麻布Type-A.6』Acrylic on Linen canvas 100×100cm 1979 |