KAWAI AKIO
  川井昭夫

中田宏明

1970年代末、ミニマリズムへの独自の返答として、麻布の色に限りなく近づくように絵具を混色して麻布の画面に塗り込んでいく作品を発表。こうした作品において、絵具は麻と同色となることによって色彩としての意味を失いその物質性が際立ち、かえって支持体である麻の植物としてのテクスチャーを際立たせることにも成功した。以後板の木目を忠実になぞり、描かれた痕跡をなくした作品を発表。続いて草の葉を取り込んだ画像を同じようになぞる作品も発表し、作品に残る人為的痕跡を問題にし続けている。

また、自然の草に手を加え、円形をなして地面から生えているように配置して、人為性が露になるか成らないかの境目の形態を作り出すインスタレーションなどを手がけ、植物との関係性をさまざまな手法で作品に反映させている。現在富山市吉作在住。

(みどりのちから 日本近代絵画にみる植物の表現展カタログ)

   みどりのちから/日本近代絵画にみる植物の表現  群馬県立館林美術館 2003.4.12 - 5.25